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「人によって感じ方違うぬくもり」

「人によって感じ方違うぬくもり」

「人によって感じ方違うぬくもり」

 寒くなったこの時期、住まいの中でさまざまな「ぬくもり」を感じませんか。
外から家に戻るとそれだけでホッとして一息つき、冷えた靴を脱いでスリッパに履き替えると、足の冷えが少しずつ和らいでいきます。湯気の立つ温かなふろで体を温め、肌触りのよい部屋着で保温して畳に座り、温かい食事と共に団らんを楽しむうちに、お尻や背中が次第にポカポカとして眠くなってきます。
寝室でサラサラとしたシーツと昼間の太陽のぬくもりが残っている温かく柔らかな毛布や布団にくるまると、「母親に抱かれていた赤子のころはこんな感じだったのだろうか」と思いながら、温かさでふとんと体の区別が分からなくなったころには寝入ってしまい、朝までヌクヌクしています。ほかにも家族や動物を抱き締めた時や、仕事で疲れ、着の身着のままで眠ってしまった際に掛けてもらう毛布などから感じるぬくもりは、時に体だけでなく心さえも温めてくれます。
ぬくもりを感じるときは、体と触れ合う部分の温かさや適度な柔らかさ・肌触りに加えて「自らが、ほかの人や生き物などと共にある」という心理的な部分も左右されるのではないでしょうか。
「木は温かい」と感じるのは、熱の伝わり方がほかの建材に比べて穏やかなため人肌に馴染みやすく、体が触れる部分には木材が多く用いられています。また吸湿性や芳香など複合的な性質が快適性を高め、木目のゆらぎや成長の物語も心を引きつけているのでしょう。
一方、「コンクリートは冷たい」というイメージがありますが、コンクリートは熱を蓄えてゆっくりと放出する性質があり、例えばパッシブソーラーハウスではその性質を利用し、昼間の日射熱をガラス越しに蓄えて夜間に放出する、温かな蓄熱体として用いられています。
住まいに使われる素材は、熱に関するだけでなくさまざまな性質を持ち、同じ木材でも樹種によって、硬さや肌触りなどに違いがあります。服や家具を選ぶ際にその表面を手で触って確かめるように、家造りに際してもさまざまな素材に触って考えると、自分の肌に合った住まい造りの一助になるのではないでしょうか。
温度の感じ方は、女性と男性、子どもと大人、人それぞれ異なり、自分が温かいと感じていても、傍らにいる人は逆に寒さを感じていることもあります。冷暖房や窓の開閉などで室温を調整するときには相手を気遣い、その温かい気持ちを伝え合いながら、互いに快適な温度を保っていきたいものです。(Y)