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「窓辺の心地よさ考える」

「窓辺の心地よさ考える」

「窓辺の心地よさ考える」

  窓辺は何故か居心地がよい。カフェやレストランに行った際に窓辺の席が空いていると、自然とそこに座ってしまうし、職場では仕事で一息付けようと窓の外に出たりする。自宅でも窓際にソファを寄せてヨシズ越しの柔らかな光や風に当たってボンヤリとくつろいだり、隣家の人と窓越しにおしゃべりして楽しんだりしている。赤ちゃんも心地よさに敏感なのだろう、風が入る窓辺であやしているとぐずっていたのが不思議に落ち着いたりする。
居心地が良いと感じるのは人間だけではないようで、我が家の猫は夏には日が当たらず風通しのよい北側、冬には日当たりのいい南側の窓辺などで気持ちよさそうに眠る。また、部屋の中で少し弱らせてしまった観葉植物などを窓辺に移すと、葉のハリツヤがよみがえってくる。
窓辺で感じる心地よさを音で表現すると、涼しげな風にカーテンがそよぐ「ソヨソヨ」「サワサワ」、暖かい日向ぼっこの「ポカポカ」。涼しげな風鈴の音色の「リ~ン、リ~ン」。心静まる雨音の「シトシト」など。心地よくて「ウトウト」と眠りそうなイメージをしてしまう。
窓辺の心地よさとは何だろうか。家の中と外との間にあって風通し、日当たりや日陰、開けた景色などを体感できる「開放感」人の気配や雰囲気で周囲の様子を感じられる「安心感」が同居していることではないだろうか。双方がうまく感覚の中で溶け合い、心身がとろけるような「いいやんべぇ」の状態にさせてくれるのだろうと一人合点している。
そんな事に考えていると、人々が憩いや安らぎを求めて自然と集まる空間は、窓辺や海辺のような、広がりが感じられ、風通しのよい場所が多い事に気付く。海辺では広がる海原と潮風の匂いや波音、川辺では川面を流れる川音、森の近くでは広がる緑と新鮮な空気など。そういった場所にあり窓辺に席を置くカフェなどは、自然を肌で感じながら一層の心地よさを味わえ、多少遠くても何度も足を運びたくなる。
人それぞれの五感の捉え方や建物の敷地には個性があり、その人とその場所に合った住まいのあり方はそれぞれなので、お店や職場などでお気に入りの「いいやんべぇな窓辺」を探したり見付けたりしておく事は、心地よい住まいづくりのヒントを考えてみるのも楽しい(Y)。

 

体感がヒント!(タイムス住宅新聞掲載)